私にモットーというものがあるとすれば、
↑はそのうちの一つだと思う。 でも、思考を停めなければ、やってらんないこともある。 私は戦争メモリアル系が大嫌い。 あのシリアスな感じとか、シリアスさを強いられる環境とか、 やってらんない。思わずボケたくなったり、ツッコミを入れたく なったり、あくびしたくなったり、ふざけたくなったりする。 しかしながら、今回は全くボケる隙も、雰囲気でも、ついでに 相方も見当たらなかったので、とぼとぼガイドにご同行。 (じゃ、なんでアウシュビッツなんかに行ったかというと、 これまたノリと勢いなんだよねぇ^^;) 施設自体は思ったよりもずいぶんキレイで手入れがされてある。 なんというか、その同時の生活の断片とか、死の足音が全く聞 こえてこない。ガイドの話を聞いても、何も手元に残らない。 でも、それでも一番参ったのは、死の匂い。 そんなものがあるんだとすれば、きっとあれだったんだと 思う。バラックの展示室の一杯に展示された死者の髪の毛。 そしてその異様な匂い。髪の毛くらいじゃ驚かないけど、匂い は圧巻。今まで体験したことのない嗅覚で感じる死者の気配。 鬱。 目視する光景と、耳で聞くガイドは今まで見たことのある光景で、 聞いたことのある惨状で、今まで広島で生まれ育って、記念公園 は飽きるほど見て、沖縄にも3回も行った戦争スパルタ教育修了者 の私としては、何にも目新しいことも、悲惨なこともなかった。 ただ、匂いだけはちょっときつかった。 でも実際、もっときつかったのは、当時の人間の思いがさっぱり 想像できなかったこと。ただ、悲惨だね、とか、もう二度と繰り替え さない、とか、そういう当たり前の印象なんかどうでもよくて、私は もっと当時の拘留者が何を日々考え、どんな生活をし、どんな悲惨で、 どんな辛くて、どんなことを夢見て、どんな楽しみをもって生きていた のか、それが知りたかった。でも、無理だった。それから、当時ドイツ兵 としてここで働いていた人が、どんな気持ちで、どうやってどこの神経を 麻痺させて仕事に従事していたのか、そして今生きているなら、どんな 思いで日々を送っているのか、そういうことが知りたいと思った。 でも、どんなに想像しようとしても、できなかった。絶対的に情報が 足りないことも大きいけれど、でも、そこで思考を停めなければ、 自分がやっていけなくなるだろうことが、一番の理由だった。 確かに時間と労力をかければ、そういう情報は手に入るだろうし、 思いをめぐらすこともできると思う。でも、私にはその時間も余裕も ないと思った。だからやめにした。「どうしてこんなことができたのか?」 なんて、そんな歴史学者も、てか、人類も未だ解けない謎を、私なんか が解けるわけがない。 だから途中で投げ出した。 そしたら分からないままだった。 それがとてつもなく悲しかった。 100万人死のうが、 600万人死のうが、 私には手が届かなかった。 遠くて、遠すぎて、 それが悲しかった。
by kame_pcaddress
| 2006-05-29 06:52
| 旅日誌
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